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I'm Glad There Is You
増尾好秋のニューアルバム

アルバムについて

この CD の演奏は、2009年3月に僕のペンシルバニアの田舎の自宅に作ったばかりの柿の木スタジオでレコーディングしました。新レーベルでの2作目を作るにあたり、まだバンドを持っていない僕にとっていろんな意味で Bill との duo レコーディングが 最適だったんです。

Bill とはNew YorkのThe Studio でJazzCity Label を始めた頃からのつきあいなのでもう20年以上になりますがプロデューサーとしてのつきあいがほとんどでミュージシャン同士としてのつきあいはつい最近この数年だけなんです。彼には多くのレコーディングプロジェクトに参加してもらいました。卓越したピアニストである事は勿論、作曲家、アレンジャーとしての腕前、幅広い音楽性、柔軟な人間性を持っている事等、彼が一緒に仕事する上で最高だったんですね。その頃から何時か機会があったら彼と一緒に演奏したいなと心の中で思っていたんですよ。ですからこのレコーディングで僕の夢が叶ったという事なんですね。

Bill は素晴らしい人間なんです。勿論ミュージシャンとして尊敬していますが、一人の人間として心から尊敬している数少ない人物の一人なんです。彼の生き方を見ていると同じミュージシャンとしてすごく刺激になるし、学ぶ事が沢山あるんです。例えば、今でも一週間に少なくとも一曲は新しい曲を学んで、それを全てのキーで練習するんですって。そんな風に自分を音楽家として高める事にすべてを捧げて生きている毎日なのですが、同時に人生をすごく楽しんでいるんですね。
余談ですが僕がペンシルバニアに住む様になったのも昔からこの地域に住んでいる彼が紹介してくれたから、いろんな意味で僕の人生に大きく関わっているんです。
彼の今までの経歴を知りたい方は彼自身の website www.billmays.net に行ってみて下さい。

このレコーディングを始めるにあたり Bill と duo をやってみようという事以外は何も決めていなかったので、結果として Bill が持って来た曲をかたっぱしからやってみたレコーディングになりました。曲はいわゆるスタンダードの曲なのですが 僕があまり知らない曲がほとんどだったので フレッシュな気持ちで挑むことができました。 彼の持って来た譜面を基に 細かい事は決めずに 仕事場で始めて会った人と演奏するみたいに聞きあいながら 自然の成り行きに任せる演奏になりました。二人だけの演奏がとてもエキサイティングで、お互い普段とはひと味違う演奏になったと思います。このレコーディングの直後に Bill と日本のツアーにも行き、実際に人々の前で演奏して更にお互いを知り合うことが出来て音楽的にも又一段違うレベルに達している事を感じています。僕達これからも続けて行くのでこの CD は Masuo / Mays Project - Volume 1 と考えています。


曲について書きたいと思いますが、Bill が持って来た曲がほとんどなので、彼からのコメントを主に書いてみます。

1) I'm Glad There Is You
Jimmy Dorsey 作のこの曲はバースから始めました。Bill が言うには、バースは素晴らしく良いものと悪いもの、その2つしかない。この曲はバースと共に歌詞も素晴らしいんです。ロマンチストの Bill は自分の結婚式でこの歌詞を朗読したんですって。僕にとってこの曲はBillに捧げる曲になりました。

2) Part Of The Deal
数年前練習している時に何気なく5分間位で出来た曲です。ピアニストの Sonny Clark が作る曲みたいだって Bill は言ってます。

3) People Time
アルトサックスの Benny Carter 作。始めも終りもない様な、つかみ所のない不思議な曲ですね。リラックスしたこのテンポがすごく好きです。

4) Chi Chi & Sippin' At Bells
Bill がやっている Invention Trio というピアノ、トランペット、チェロのバンドのレパートリーの中に Sippin' At Bells と Bud Powell の Dance Of The Infidels を同時にプレイする Bill のアレンジがあって、僕はそれを聞いた時に Charlie Parker の Chi Chi も良いんじゃないかと思った訳です。

5) Folks Who Live On The Hill
Sonny Rollins のバンドに居た時によくやっていた曲で Look For The Silver Lining と共に僕が一番好きな曲でした。小節数が不規則な曲。Bill がアレンジした オリジナルとは違うハーモニーを、所々で使っています。

6) Blue Daniel
昔ロスアンゼルスに住んでいる頃にBillはこの曲の作曲者トロンボーンの Frank Rosolino と良く一緒に演奏していたとの事。僕が聞いたのは Cannonball Adderley の演奏。14小節の繰り返しのシンプルなワルツですが面白い曲ですね。

7) Madrugada
Bill が数年前にカリブ海の島 St. Barts で朝の5時半太陽が昇って来る時に書いた曲。Madrugada とはポルトガル語で morning sunrise との事。

8) Wonder Why
音楽評論家の Doug Ramsey からつい最近見せてもらたばかりの曲なんですって。Doug の友人ピアニストの Jack Brownlow のイントロとエンディングのアレンジを使っています。

9) Fall
Wayne Shorter が Miles Davis のバンドに居た頃の曲です。この CD の中では唯一の Be-Bop ハーモニーじゃない曲。たまたまワンコーラスずつの掛け合いになったのですがそれが何か二人の会話の様に聞こえますね。

10) Get Out Of Town
one of Cole Porter's hippest tunes だと Bill は言います。特にマイナーで始まってメイジャーになって又マイナーに戻る曲の形式やその時代にしては大胆なメロディーの飛躍等が特徴。歌詞も良くて歌うのが好きな Bill は時々自分で歌っているんですって。

11) Young And Foolish
すでに沢山レコーディングされている曲だと Bill は言うのですが、僕はまったく聞いた事がない知らない曲でした。みんながやっているので普通では面白くないと、この曲には Bill のひねりの利いたリハーモナイズしたアレンジがされています。Bill Evans と Jim Hallの雰囲気が少し感じられますね。



一昨年から心機一転又ミュージシャンとしての人生を始めた僕ですが、2009年は3回も日本に行ったし(合計で150日間位)すっかりミュージシャンに戻った気持ちになっています。これだけ長い間ミュージシャンとしてのキャリアにブランクがあったのに僕の音楽を憶えていてくれた人がたくさんいた事もすごく嬉しくてエネルギーをもらいました。改めてもう一度演奏を聴きに来てくれた全国の音楽ファンの方々、演奏する機会や場所を作ってくれた友達やクラブのオーナーの方々に感謝したいと思います。そんな意味でも I'm Glad There Is You、 このタイトルは今の僕の気持ちにすごく合っているんです。感謝の気持ちでいっぱいだからですね。


このアルバムは昨年2009年に旅立った二人の友、吉田忠興君、鈴木一司君、それに私の姉 ピアニストだった増尾順子に捧げます。



増尾好秋の公式ファンサイトは → ymasuo.com

 

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